inswatch Vol.179 (2004.01.05)

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【 inswatch 】Vol.179

===============================================Vol.179  2004.01.05=======

*明けましておめでとうございます。穏やかな晴天の正月となりました。本年も
引き続きご愛読いただけると幸いです。(編集人一同)

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■■■ もくじ ■■■
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【0】め・て・みみ
=「ワンストップサービス」のマジック=
【1】ビューポイント「石さんの保険業界、単眼、複眼」
=2004年・課題山積の生保業界=
【2】ビューポイント「中さんの保険業界、ここに注目!」
=2004年の保険マーケットの展望と代理店ビジネスの活路=
【3】業界の動き                       石井 秀樹
=1月から各社で新商品相次いで投入=

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【0】め・て・みみ
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「ワンストップサービス」のマジック

5日付日経朝刊で金融庁が銀行、証券、保険の商品を一つの窓口で提供できる
「ワンストップサービス」実現に向け規制を大幅に緩める方向を打ち出すことに
躍起になっている。竹中経済財政・金融担当相が日経のインタビューで語ったと
ころとしては、消費者はワンストップサービスを求めている、それは世界的な傾
向とし、業種別の横並び、ぬるま湯体質を脱却し、消費者本位のサービス体制を
確立する、という。

狙いは銀行窓口にくる個人客を対象に株式の勧誘や注文取次ぎの証券仲介業と
生損保商品の販売を行えるように規制緩和し、銀行窓口で売買や契約、カネの出
し入れまで一ヵ所でできるワンストップサービス体制の確立を目玉として打ち出
したものだ。サービスの誤解や顧客情報の不正流用などの弊害防止策の検討も必
要になる。これから開始される金融審議会での論議の方向付けが透けて見える。

現在ITの活用を背景に行政ベースでのワンストップサービスの推進が注目さ
れている。そうした中での竹中大臣の今回のアドバルーンである。銀行も証券も
保険も業績が芳しくない。特に銀行についてまわる経営不安視の払拭は必要なの
だろう。その目玉が銀行窓口のワンストップサービス化だった。「世界的傾向」
「消費者本位」「横並び経営からの脱却」「業種の垣根を取り払う」いずれも受
け入れやすいマジック・フレーズだが、本当にそうなるのか、疑問を持ち出すと
いずれも怪しく見えてくるから不思議だ。

証券、保険にとっては銀行窓口での商品販売は、面白いはずはない。自ら抱え
る既存の販売網にとって銀行窓販は大きな脅威である。販路拡大というメリット
の一方で、商品によっても異なるが、顧客サービスを地道に展開する本来チャネ
ルへの打撃は大きいだけに間尺は合わない。

顧客の商品購入経路の選択肢は増えることは確かだが、果たしてどれほどワン
ストップサービスを必要としているかというと、いかにもとってつけた観は否め
ない。現場を知らない方々の場当たり的な思いつきで、「消費者本位」を語る消
費者不在にならないことを祈るばかりだ。
(中崎 章夫)

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【1】ビューポイント「石さんの保険業界、単眼、複眼」
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2004年・課題山積の生保業界

◇加速する生保各社の再編
新年早々に明治生命と安田生命が合併、「明治安田生命」がスタートを切った。
大手生保同士の合併は初のケースだ。「明治安田生命」は総資産25兆5,43
0億円、保険料収入で1兆5,888億円(2003年度上半期合算業績)とな
り、規模的には住友生命を抜き3位の保険会社に浮上した。同社では先に中期経
営計画を策定しているが、2006年度新契約高19兆円以上、保険料等収入1
兆7,000億円以上、計上利益2,800億円以上を目指す。また、販売チャ
ネル面では、営業職員(上半期末4万3,298人)の増加の方向に変更はない
が、新営業員制度(「顧客担当給」、「新顧客担当者制度」)を導入、アフター
サービス活動の強化を図るとしており、この1年の業績の行方が注目されるとこ
ろだ。

大手生保では現在のところ明治安田に続く合併の動きはないが、4月には三井
生命が株式会社への組織変更が決まっているほか、持ち株会社(株)T&Dホー
ルディングスが設立され、傘下に大同生命、太陽生命、T&Dフィナンシャル生
命が並存する形で経営統合される。外資系生保では昨年、GEエジソン生命がA
IGグループに買収され、同グループのもとにアリコ、AIGスター、AIGエ
ジソンの3生保が共存する形がとられたほか、昨年末にスカンディア生命がミレ
アホールディングス(東京海上)に買収されるなど、新たなビジネスモデルの追
求に拍車がかかっている。

◇求められる新たな戦略作り
生保の上半期業績では株価の回復によって破綻への不安は解消の方向にあるも
のの依然横ばい傾向にある逆ざやに加え、保有の減少、新契約高の低迷という構
造に変化はない。こうした状況の中で、各社とも組織効率化や事業のアウトソー
シング、内勤職員を中心としたリストラ等による事業費削減をはかることによっ
て競争に勝ち抜く体制作りが要請されている。
また、人口高齢化の中で、これまでの死亡保障中心の保障から医療・介護・年
金ニーズへの対応、銀行窓販等のチャネルへの対応、マーケット変化に対応した
既存の営業職員チャネルの再構築など、今後の新たな攻めの戦略作りも不可欠と
なる。

◇隣接業界の動向、今後の生保に大きく影響
一方、隣接業界では日本郵政公社(簡保)が5日から生保の主力商品である定
期付終身保険分野に参入するとともに、2007年4月の民営化に向けての論議
が活発化している。4日付けの報道では郵政公社が持ち株会社に移行(政府出資)
し、郵政3事業を統括、うち簡保事業は地域別に2~3社に分割する案が有力と
している。政府保証や税制優遇、これまでの契約・資産などの中味については今
後の論議によるが、分割民営化によって新たな巨大生保が登場する可能性もある。

また、生保の業績が低迷する一方で共済が好調な伸びを示してきている。共済
マーケットについては損保4社がCO‐OP共済マーケットに団体傷害保険を販
売するといった共済と保険のマーケットの融合もスタートしたが、生保において
も、今後こうした制度共済とのマーケット、チャネルの活用が模索されてくるだ
ろう。
さらに、銀行窓販の取扱い商品拡大について金融審議会(第2部会)での論議
も始まる。生・損保ともに反対は表明しているが、その行方によってはチャネル
政策、とりわけ営業職員チャネル政策が大きく変わる可能性もある。

こうした内外の変化にいかに対応できるかが、主要生保のみならずカタカナ生
保、外資系生保、損保系生保の個社それぞれに求められてくる。そしてこのこと
は、今後の経営の選択をどう判断していくのかということあり、新たな生保再編
の起爆剤ともなる。その意味で生保業界にとってこの1年はまさに正念場となろ
う。
(石井 秀樹)

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【2】ビューポイント「中さんの保険業界、ここに注目!」
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2004年の保険マーケットの展望と代理店ビジネスの活路

◇「保険流通」が大きく動く
2004年の焦点は、保険流通のあり方が大きく変わりそうである。保険のマ
ーケットそのものが構造的な変革期を迎えている。保険会社間合併、統合、グル
ープ化も、その選択の成否は別としても、とりあえず自由化時代の生き残りをか
けた経営の選択と集中の動きだった。気がついてみれば巨大航空母艦的な会社体
質が出来上がり乗組員の過剰をどうするか、まさに物件費ベースのコスト削減か
ら人件費ベースでのそれに焦点は移ってきた観もある。

社会構造的にも、日本の人口も数年後には減少に転ずることは必至で、この影
響を保険市場はもろに受ける。少子高齢化とITを活用した消費者利便の向上
(例えば自動車保有に関する行政手続きのインターネットによるワンストップサ
ービスシステム化の推進
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha03/09/090808/02.pdf )や交通安全への取
組強化で車社会のあり方も大きく変わり、これが保険にも跳ね返る。医療や介護、
年金などの分野では、国の財源難を背景とした公的保障と民間の保障の役割分担
の再調整もクローズアップされる。

ライバルとの競合もますます熾烈化する。通販や共済に加え日本郵政公社の簡
保の新商品発売問題、金融の垣根の引き下げによる新たな業際間の競合激化など
が保険産業に大きな影響を持ってきそうだ。また、アフィニティといわれる新団
体市場の開拓に保険会社は一層力を入れる結果、団体向けのリスク細分プログラ
ムが増え、共済との競合のみならず市場性に目をつけた融合も進むため両者の境
目も不明瞭となるため、改めて保険ー共済問題がクローズアップしてこよう。

◇乗合問題はそろそろドライに割り切る時期
こうした中で、チャネル間競争激化、手数料の自由化に伴う代理店間の格差拡
大、手数料水準のダウンは進んでいく。代理店の規模別、処理能力別分化に拍車
がかかる。また、これとあわせて、保険会社主導での代理店再編の動きも起こっ
ている。こうした中で、力のある代理店(そうでもないケースもかなりあるが)
の間では、自由化時代に見合ったように保険会社との委託契約関係につき、取引
先選択の自由を求める要望も強まっている。

保険会社としても、専業専属を基軸とし、例外的に(場当たり的に)乗合を認
めるという従来方針を堅持するのか、条件付で緩和するのかについて、スタンス
を今一度明確にするべき時がきているのではないか。

代理店経営者に自立・大型化を望む以上、従来とは違い難題の先送りをしにく
い状況に直面しつつある。すでに現場では自社専属には乗合を思いとどまるよう
に脅しと泣き落としで迫り、その一方で他社の有力代理店には乗合の時代が来た
といっては代理店のリスクで取引拡大をそそのかす。そのあまりにも場当たり路
線に驚くとともに、従来路線の破綻を見るのは私だけか。生損保総合販売が当た
り前化している代理店ビジネスにおいて損保は1社、生保は複数社乗合のケース
でも、損保のみに着目し専属と言い切るのはいかがなものか。代理店サイドから
すると合点が行かないのではないか。

自社で専業代理店を計画的に育成する研修生制度もコストがかかる割りに思う
ような効果が出にくいだけに、採用を手控えたり制度そのものの見直しを図る会
社が増えている。次代の担い手の確保が思うように行かないなら、他社で育った
代理店に乗合攻勢をかけるか、保険会社の抱える人材を代理店に派遣するかの選
択しかなく、この両方を追求する動きは強まりそうだ。

1社のみの判断で貧乏くじは引きたくないという保守的な業界である。横にら
みが依然として続く保険業界にあってどこが仕掛けるか、本音はどこかに仕掛け
てもらい追随したいのだろうがどこが踏み出すのか。これからの代理店政策に目
が話せない。

◇双方の甘えの構造の清算必要に
日本は保険会社と代理店の関係も甘えの構造を前提にした多分に情緒的、感情
的なものが支配する。代理店を独立の商人とする扱いはしていないように思える。
代理店サイドの事情もさまざまだ。顧客対応力強化から商品仕入れの自由度を確
保したいというまっとうなものから、多分に保険会社に対し、嫌がる乗合問題を
提起することで有利な条件を引き出そうとするさもしさもちらほら垣間見えるケ
ースまである。

お互いに、相互信頼に基づく事業家同士、商人同士の関係はできないものか。
プロ野球ではないが、フリーエージェント制度のように、一定年限を経た代理店
でコンプラ体制を含め一定以上の事業化要件を備えた代理店には乗合をルールと
して認めるような基準を明確にすることや、米国のように、双方が取引しない自
由を含め、保険会社が最低取引条件を明示して合致した代理店を迎い入れるよう
なドライな条件を設定することを考える時代に入ったのかもしれない。

複数保険会社との取引は独立心旺盛な事業家なら経営選択として当然考えると
ころだが、1社取引とは違い、しっかりした事務対応力を有しないと手数料評価
やシステム面をはじめ、かえって非効率ともなり、またコンプラ対策などの面か
らも大変な負荷がかかる。乗りあえば売り上げが確実に増えるという保証はない。
ムード的対応は危険である。こうした事務処理面の収益管理を含めきちんとした
代理店経営の尺度が整っていないところでの感情的な議論が多いだけに、この問
題の難しさもある。

◇ライバルのディーラー、銀行の攻勢
代理店数もすでに32万店規模となり、市場環境の厳しさや代理店モデルの転
換を考えると今後さらに劇的に減少し、いずれ5万~10万店規模になるものと
見られる。なかでも専業プロを取り巻く事業環境は急激に悪化している。
半面募集従事者数は拡大しており、代理店組織の大型化や他の大手資本の代理
店参入を物語る。ライバルチャネルからのマーケット侵食も確実に進んでいる

最近では、とりわけ自動車ディーラーと銀行チャネルの攻勢が目に付く。専業
代理店が全社的に実績割れ基調なのとは対照的に自動車ディーラーや銀行、証券
などの窓販は保険料面で進展を見せている。

自動車ディーラーでは、車の販売とともに、代理店手数料収益の強化や本業の
自動車販売と保険販売の相乗効果を狙い、新たな戦略を打ち出しつつある。その
一つが、取引保険会社の絞込みである。手数料収益拡大とユーザーの囲い込みの
ためのサービス強化をねらい、直資ディーラー、地場ディーラー単位に取引損保
の選別を強化している。また自動車保険のみならず他種目販売の強化を図るなど、
保険販売強化の姿勢を強めつつある。

銀行はすでに解禁なった住宅ローン火災保険や個人年金保険の窓口販売を通じ
急速に圧倒的な存在感を示しているほか、従来の別働体代理店の再編・強化によ
る法人マーケット強化にも取り組みを強めている。それに加えて、今度は他の主
要生損保全種目の拡大について金融審議会で検討し、早期実施の方向もスケジュ
ールかされた。今後、保険部門の強化策としては地域有力代理店とまずは提携の
形で、将来的には規制緩和を待ってM&Aで吸収するような方針を採るところが
出ないとも限らない。

◇流通小売業の経験との類似性と相違
自由化局面で巨大資本をバックとした保険代理店業への新規参入や再編強化は、
保険流通チャネルの変化を一層促すことになるとともに、チャネル間の競合、摩
擦を増加させることは必至だ。プロ専業代理店にとりこうしたマーケット環境に
どのように対応していくのか。

流通小売業の世界で言うなら、個業や家業でやってきた商店街の八百屋や魚屋、
肉屋などが大型店舗の進出で顧客を奪われ衰退する。それを免れるには新たな業
態開発が必要になり、専門店を目指すのか、スーパーを目指すのか、コンビニを
目指すのか、あるいはコバンザメのように共存の道を目指すのか、といった転換
が起こる。しかもそれで成功する保証はないので廃業の選択をするケースも出る。
その結果代理店への転進を図ったケースも結構見られる。

いま、素敵な保険代理業にも自由化の波が遅まきながら押し寄せてきたわけで、
流通小売業での経験したことが保険流通の場面でも起こり出している。ただし物
販中心の小売業と違い情報サービス産業ゆえに緩慢に。ある生保が休日も休まず
営業する体制をとったことが話題になるほどサービス産業としては遅れている。

◇プロ専業代理店の活路は?
プロ専業代理店には損保主体に展開してきたところが多い。その意味では、先
に見たディーラや銀行窓販、そして大都市部なら保険通販の影響をもろに受ける。
自動車保険や火災保険では価格競争や強力ライバルとの競合からいって、単品販
売では苦戦し、将来展望が立たなくなることは必至だ。当面は、市場開拓力、営
業力強化とそのための事務体制の整備に尽きる。将来的には法的な環境整備を待
って志を同じくする代理店事業家同士の連携もよりとりやすくなるかもしれない。

営業力強化の面で言えば、顧客への損保の他種目販売はいうに及ばず、生保や
医療保険などの人保険の複合販売がポイントだろう。そのためのスタッフの養成、
業務力やセールス力強化は必須である。
生保市場も保障の合理的見直し、簡保の新型終身の販売などにより新たな局面
を迎えつつある。また医療保険分野も生損保各社入り乱れての新商品開発ラッシ
ュとなっている。今後残された商品分野といえば実損補償型医療保険商品の開発
ぐらいか。公的医療保険の本人負担増もあり、顧客サイドの関心も高いだけにこ
の方面の新商品開発には目が離せない。

人保険の販売を強化する。この戦略性はどこにあるか。顧客との取引情報、顧
客の世帯管理を強めることで、顧客満足度の高い付加価値戦略を展開するところ
にある。専門家群をネットワーク化したバリューチェーンを構築しサービス品質
を上げ、顧客の定着を図る。また、複合販売により取引単価のアップ、代理店経
営収益の拡大を図る。
個人分野、法人分野を問わずこれからの代理店経営にとり、人保険を基軸にし
たコンサルティング営業展開が取れるかどうか、代理店事業として組織的な販売
手法が確立できるかどうか、が問われるところとなろう。

◇証券代理店と旬な商品対応の戦略性
2004年4月から証取法改正による証券仲介業制度が始まる。「貯蓄から投
資へ」の流れを加速するために株式売買に優遇税制を導入するとともに、販売チ
ャネルを広げる第1弾として証券仲介業制度の導入を図るものだ。これに伴い複
数の証券会社の業務委託を受け有価証券の募集の取り扱いをする証券代理店が誕
生する。2005年からは銀行の参入もスケジュール化されているだけに対応面
の遅れは致命的となる。

すでにFP、大手コンビ二、カード会社、有料老人ホーム、税理士などととも
に、保険代理店での参入を検討するところが増えている。そのための証券外務員
資格の取得、登録、あるいは法人の代理店の場合、定款の変更も必要になる。証
券セールスマン、セールスレディの代理店への転換も進む。これに伴い保険の資
格を取り金融性の強い保険商品の販売に乗り出すところもクロスオーバー型で増
えていく。

◇資金移動情報のキャッチアップ
保険代理業にとっても、金融商品にどのようなスタンスで望むかは厳しく問わ
れるところとなる。中途半端な対応は危険だ。身近な相談相手としてリスクマネ
ジメント、資産管理に対する顧客の期待値は高いし、資金移動に関する情報をい
かに早くキャッチするかは保険取引にもダイレクトに影響してくるのである。

銀行融資が保険の圧力募集で話題となるが、これは諸刃の剣であり、融資切れ
は保険取引ではマイナスに影響する。むしろ銀行の優位性は資金移動情報の入手
しやすさにあることは言うまでもない。この点はしっかり抑えておかないといけ
ない。

保険本業の厳しいマーケット環境下で、顧客へのサービス強化を図るため、人、
モノ、カネの構成割合のバランスをとることにより、収益力を強化していこうと
いうものである。
日本の顧客層は資金運用については、引き続き安全志向が強く、元本保証型の
有価証券志向が強い。ただ、米国でも株式投資が高まった背景には、401K
(確定拠出型年金)の普及と投資教育があった。
中小企業や自営業者向けに日本版401Kの普及は、今後急速に広がることが
見込まれるだけにこうした市場を得意する専業代理店は、顧客対応力強化の観点
からこの分野への対応を図ることが必要になっている。
(中崎 章夫)

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【3】業界の動き                       石井 秀樹
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1月から各社で新商品相次いで投入

◇商品開発競争進む生存保障分野
昨年11月末に発表された生保の上半期業績では新契約の伸びが低下した。特
に高死亡保障型商品が頭打ちになり、それに替わって銀行窓販を中心とした定額・
変額型の個人年金保険や医療関係商品が伸びを示すなど、消費者の死亡保障から
生存保障分野へのニーズの変化が顕著になった。昨年の生保文化センターによる
「生命保険に関する全国実態調査」でも医療、介護、老後といった生活保障準備
への経済的不安が死亡保障に対する不安を上回っている。また、世帯の満期保険
金額、死亡保険金額は前回調査(平成12年)に比べて減少しているのに対し、
疾病・介護に対する加入率は増加している。

これまで定期付終身保険を主力としてきた主要生保各社もミドルシニア層をタ
ーゲットとした医療・介護商品・特約に比重を移して来ている。1月から明治安
田生命、第一生命、アリコジャパン、AIGスター生命、AIGエジソン生命の
各社が新商品を発売したが、いずれも医療・年金など生存給付(アリコは医療保
険に付加できる死亡保障特約)型の商品で、今年はこの分野での商品開発競争が
一層進みそうだ。1月発売の新商品の概要は以下の通り。

◇明治安田生命が合併記念商品
1月1日に合併スタートした明治安田生命は記念商品として「ライフアカウン
トLA.Double」発売した。同商品は万一の保障に加え、病気や事故でその後働
けなくなるような状態の時(所定の生活機能障害状態)一生涯、生活をサポート
するというもので、生活保障を重点とした「生活サポート特約」(「終身型」
「定期型」)と被保険者が死亡した場合の「遺族サポート特約」の2つの特約を
用意した。また、3大疾病の治療を目的とする入院について入院日数に関係なく
給付が行われる「3大疾病無制限入院特約」を発売した。
(http://www.meijiyasuda.co.jp/profile/release/integration/2003/)

◇第一生命は終身医療保険
第一生命は1月(12月29日発売)から、5年ごと利差配当付終身医療保険
「医療の王道」の販売を開始した。同商品は契約年齢範囲を50~70歳のミド
ルシニア世代をターゲットとした医療保険で、病気やけがでの1泊2日以上の入
院や手術、万一の場合の死亡保障が得られるほか、所定の要介護状態になった場
合、以降の保険料は免除される仕組み。また、入院給付金に加え、生活習慣病や
女性特有の疾病の治療を目的とした入院について、それぞれ入院給付金が支払わ
れる型が用意されている。入院給付金の支払限度は「120日型」と「240日
型」。さらに主契約の保険料払込満了後の契約の転換を可能としている。
(http://www.dai-ichi-life.co.jp/products/hoken/p-iryou-oudo_f.html)

◇AIGグループ3社が揃って新商品発売
アリコジャパンは1月2日から同社終身医療保険に付加することができる終身
死亡給付特約を発売した。同社の終身医療保険は死亡保障と解約返戻金をなくし、
保険料を安くした医療保険として販売されているが、今回の特約は一生涯にわた
る医療保障に死亡保障を付加したもので、不慮の事故、所定の感染症による死亡・
高度障害状態には普通死亡時の2倍の保険金が支払われるもの。また、経過期間
に応じた解約返戻金がある。
http://www.dai-ichi-life.co.jp/company/newsrelease/nr0346_f.html

AIGスター生命は1月5日から米国ドル建ての個人年金保険「やっぱりドルだ
ね」および2月から銀行窓販用商品「オリオン」(積立型・一時払型)を発売す
る。同商品は保険料の払込みや年金等の受取りを米国ドルで行う(「円換算入特
約」「円換算支払特約」「円建て年金に移行する場合の特則」によって円貨での
払込み・受取りも可)利率変動型の資産形成商品で、最低保証利率が設定されて
いる。
http://www.aigstar-life.co.jp/company/press/h151226.pdf

1月1日にAIGエジソン生命へと社名変更したGEエジソン生命は1月5日
から無配当長期傷害保険「AIGエジソンの長期傷害保険」を発売した。同商品
は不慮の事故や感染症による入院・手術・通院から障害状態・死亡までを幅広く
保障するもので、「定期型」(保険機関10年)と「終身型」の2つのタイプが
用意されている。
保障内容は、不慮の事故で障害状態になった場合、障害の状態(1級、2級、
3級)に応じて災害死亡保険金額×100・70・50%の障害給付金が支払わ
れる。また、不慮の事故による障害で180日障害状態2級または3級に該当し
た時には以降の保険料は免除される仕組み。
http://www.geedison.com/company/news/pdf/n_50.pdf

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新刊案内
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■新刊書発売!『プロ代理店経営WORK SHOP』
内容詳細、値段、申し込みは以下から
http://www.inswatch.co.jp/book/book040.htm
インスプレス出版目録は
http://www.inswatch.co.jp/book/index.htm
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■編集後記
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新年おめでとうございます。ご愛読いただいている皆様に改めて御礼申し上げ
ます。inswatchも今回で179号となりました。毎週、週末には頭を悩ましなが
ら原稿を書いていますが、保険業界を取り巻く環境変化の速さには驚かされます。
そして、この1年も波乱含みの1年となる予感がします。当然、保険会社の変貌
は商品の販売主体である代理店・営業職員の皆様に大きな影響を及ぼすでしょう
し、経営の選択が一層強く求められてくるでしょう。inswatchが新たなビジネス
モデルを追求する皆様にとってお役に立てるよう、また1年頑張りたいと思いま
す。よろしくお願い致します。(石)

私が昭和54年に結婚とともに住んでいる新松戸は、名前のとおり松戸市と柏
市の接するところで、JRでは馬橋と北小金の中間に位置する新興住宅地だ。南
小金とか北馬橋などの候補もあったという。江戸川とその支流の坂川が流れ、堤
防が低かった江戸時代はしばしば河川氾濫があった湿地帯という悪条件の土地柄
で、水田工作も苦難を極め、船を使って農作業をしたということもあったようだ。
戦後も30戸ほどの農家が点在するにすぎなかったが、それが幸いし、松戸市が
第3セクター方式でディベロッパーを招き入れこの地域の大規模再開発を行い
(すぐやる課で全国的に名をはせたアイデアマンの松本清市長が音頭を取る、今
ではドラッグストア名のほうが有名になった))一大マンション群からなるベッ
ドタウンと化した。私はいわば街ができたころに移り住んできた古い新住民(?)
である。地下鉄千代田線乗り入れの常磐線沿線で都心まで、40分で出られるこ
と、環状線の「競輪競馬線」の異名もある武蔵野線とも交差していることなどの
好立地も手伝いいろんな人が移り住んできた。こんな地域の野に咲く花を同じマ
ンションの花好き仲間が「花だより」として紹介している。道端で見て、「あれ
何の花かな」という普段着の花々をデジカメでまめに撮って歩いた写真とコメン
ト構成だが、いずれも生真面目な中にもほのぼのとして、私は気に入っている。
現在紹介されているのは一足早い春の花のみだが、興味のある方はご覧あれ。
http://www.hpmix.com/home/ezuka/(中97:28)

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保険代理店専門メールマガジン【inswatch】Vol.179(2004.01.05)
発行日    毎週月曜発行(年52回発行)
発行元    有限会社 インスウォッチ
発行人    長  忠
編集人    石井 秀樹  中崎 章夫(Weekly)
森田 直子(月2回長編レポート)
WEBマスター 稲葉 幹雄
URL  http://www.inswatch.co.jp
お問合せ info@inswatch.co.jp
投稿先  reader@inswatch.co.jp

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